政治を考えるヒント

私は政治家やジャーナリストなど、直接政治に関係のある立場ではなく、一市民です。最近、日本の政治に関する不信・心配が強くなってきています。自分の考えをまとめつつ、何かヒントになるようなことを書いていければと思っています。

舛添問題とふるさと納税

舛添都知事の問題が連日ニュースをにぎわせている。会見をするたびに高まる市民の不満の一方で、舛添さんは何とか逃げ切りのための方策を見つけているように見える。これだけ多くの都民が辞任を望んでいても、それを実現させるハードルがいかに高いのか、というのを実感させられる。

 

舛添さんの個人的な資質の問題とは別に、今回大きな問題になっている背景として、政治資金規正法というのがザル法であるということが大きい。これは過去にも何回も問題になっているものだが、政治家がこの法律をよく理解した上でうまく使えば、ほぼ自由にお金を使えてしまう。つまり、本人が「政治的な活動」と認識していれば、何に使ってもよく、その政治的な活動の認識が個人に委ねられてしまっている。舛添さんの例で言えば、浮世絵などの絵画の購入は、昔の東京に思いを馳せ、今後の東京を思い浮かべるための政治的な活動、ということだそうだが、この理論を適用すると、おいしい食事をするのは気持ちを豊かにして良い政治をするための政治活動、ということになるし、リゾートにバケーションに行くこともリフレッシュして良い政治を行うための政治活動、ということになってしまう。さすがにこれは無理だと思えば、食事やらリゾートのついでに、少し政治的な話をしたことにしておけば良い。道義的には全くおかしな話だが、法律上は問題がない。

 

法律があてにならない場合、次の頼りは議会ということになるが、議会は都民の声を代表しているのではない、というのが今回の件で明らかになった。議会が何かをするために、自民党が動かない限り何も起こらないが、辞任を求める声を上げると自分たちが舛添さんを支持した責任を認めることになる、あるいは、次の都知事選で勝てそうな良い候補が手元にいない、という内輪の論理だけで動いているということが分かってしまった。

 

そうなると、都民は自分たちで動くしかない。リコールという制度があり、当然やるべきだが、決して簡単に実現できるものではない。他に出来るのは、4年に1度の投票だけなのか? というと、必ずしもそうではなく、都政を変えていくために、簡単に出来ることが実はあるのです。前置きが長くなりましたが、ここで、ふるさと納税の出番です。今回の問題の引き金として、不必要に豪華な海外出張というものがあったわけですが、その根幹には有り余るほどの財政、というのがあります。東京は人が集中しているので、住民一人当たりにかかる費用は少ないし、企業からの税収も多い。放っておいても、他の自治体に比べてお金が集まるわけです。そして、あれば使ってしまうのが人間の悪い性。これに対する対策として出来るのがふるさと納税。つまり余りすぎて困っている東京のお金を、本当に必要としている地方に渡そう、ということです。

 

ふるさと納税というと、その地方の特産品をもらうための制度、あるいは、手続きが面倒、というイメージを持っている人が多いかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

ふるさと納税の仕組みを簡単にまとめると、

  • 年中いつでも申し込める。
  • 通常、確定申告などの面倒な手続きは不要。
  • どこの自治体に対しても可能。
  • 年収に応じた控除額がある。
  • 手数料として2000円かかる。

一言で言うと、手続きは非常に簡単です。
ふるさと納税が出来るのはいくらまでか? 厳密にいうと、上限はないのですが、自分の住んでいる自治体に納める税金を、他の自治体に動かす、という考えで使う場合には、年収に応じた限度額があります。色々な条件が関係しますが、例えば年収500万円の場合4~6万円といったところです。これを多いと取るか、少ないと取るかは人それぞれだとは思いますが、例えば熊本地震の被災地に寄付をしよう、と考えた時にいくら寄付をしますか? あるいはいくら寄付をしましたか? 1万円を超える人は少数派ではないでしょうか?
ふるさと納税の仕組みを使うと、例えば控除額が6万円であれば、6万円を熊本の自治体に納め、手数料は2000円、ということになります。

 

最近はふるさと納税のお返しの競争が激しく、少し本来の目的と違う方向に行ってしまっている、という懸念もありますが、例えば東京都民が熊本の被災地にふるさと納税をするのは、困っている人たちを助ける一方で、第二の舛添が出てくる予防にもなり、都政に対してダイレクトに意思を伝えられる、良い方法ではないでしょうか?