政治を考えるヒント

私は政治家やジャーナリストなど、直接政治に関係のある立場ではなく、一市民です。最近、日本の政治に関する不信・心配が強くなってきています。自分の考えをまとめつつ、何かヒントになるようなことを書いていければと思っています。

民主主義のコスト

政治家の不祥事のニュースが後を絶たない。もっともホットな話題だと東京都知事の舛添さんだろう。東京都民でなくても、このニュースは気になる。政治家のお金の問題が出ると、少数派ではあるものの必ず出てくる意見として、「細かいことには目をつぶろう」というものがある。
つまり、細かいことばかり追求するあまり、本来政治家に求める能力に対する議論がおそろかになってしまう。辞任して選挙をやり直せばお金はかかるし、政治的な空白期間もできる。そのコストと、少々お金の使い方に問題があることのコストを天秤にかけた場合、政治を優先すべき、ということだろう。
一見、大局的な見方に思えないこともないが、この考え方には大きな疑問がある。

 

残念ながら、民主主義は必ずしも効率の良い形式ではない。もし非常に優れた人物が独裁政治を行えば、民主主義よりも良い政治を効率よく行うことが出来る。しかし、独裁政治では、上に立った人物に問題があった場合には、とんでもないことになってしまう。民主主義で選挙で人を選んだところで、必ずしも優れた人物が選ばれるわけではない。投票する人は、立候補者のことを良く知らないし、そもそも、限られた人数しか立候補しないのだから、多くの人が投票の際に感じるのは、選んでいるというよりも、消去法で消している、という感覚かもしれない。

 

いずれにしろ、選挙で選ばれたから立派、というのは幻想であり、民主主義の良いところは、間違った人を選んでしまった場合に退場させることが出来る、ということに尽きる。多くの場合、政治家が悪いことをするかどうかを有権者が予見するのは、ほぼ不可能だろう。ただし、今回の舛添さんに関する報道では、周辺の人脈から聞こえてくる声は、「まさかあの人が」といったものは皆無で、「やっぱり」とか「昔からそうだった」というのが大半だ。

 

辞任、再選挙となれば、都民にとっては高い授業料ではあるものの、多くのことを学べる機会ではあるし、都民ではない人たちにとっても、今回の件を踏まえて、政治家に対する意識が変わるのではないだろうか。これは民主主義のコストとしては、正しい使い方と思われる。