奨学金という名前は学生ローンに変えるべき
給付型奨学金、つまり返済義務のない奨学金の導入が検討されている。これ自体は良いことだが、財源をどうするのか、どのような学生が使えるようにするかなど、実現までに色々な課題をクリアしていく必要がある。
一方で、現在主流の返済義務がある奨学金に関して、今すぐにできて、効果も高いと思われる方策が一つある。それは、奨学金という名前を変えて、学生ローン、あるいは学資ローンなどに名称を変更することだ。一般の金融機関ではそういうプランはすでにあるが、世間一般で奨学金と呼んでいるものを、正式に学生ローンと呼んだらよいのではないか、ということです。
なぜ、呼び方を変えるだけで効果があるのか? それは、ローンという呼び方をすれば、返済義務があることが明確になるからです。奨学金返済の滞納をしている人の半数は、借りる段階になって初めて、返済義務があることを知るそうです。これは色々なことを示唆していて、
- 返済義務があると分かっていたら進学していない人まで進学している可能性がある。
- 返済義務について知るタイミングが遅いとは言うものの、返済義務があることは借りる段階では分かっている。それでも返さない(返せない)人が多数いる。つまり、お金を借りて進学した成果が上がっていない、あるいは、成果を感じていない可能性が高い。
奨学金は借金であることが明確になれば、借金してまで進学をするべきなのかきちんと考えることになるし、学生生活に対する姿勢も変わってくるのではないだろうか? 今の奨学金という名称は、知らないうちに借金を背負ってしまうという不幸な状態を生み出している可能性がある。名前を変えるだけ、簡単に防げるのではないだろうか。